回天(マルロク金物一型)
回天は、機密保持のため、兵器と呼ばれた。回天の母体となった九三式魚
雷は、酸素魚雷といわれるもので、終戦まで秘密のベールに覆われていた高性能魚雷であった。隠密性にすぐれ、爆薬を多量に積載することができた。また、各国の魚雷に比べ航続距離もはるかに長く、驚くべき威力を持っていた。
この九三式魚雷の中央部に、乗員のための操縦室などを取り付けたのが回天である。
回天一型の要目・性能
全長 | 14.75m |
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胴直径 | 1.00m |
全重量 | 8.30t |
最高速力 | 30.0ノット |
行動半径 | 10ノットで78000m 20ノットで43000m 30ノットで23000m |
機関 | 93式酸素魚雷機関 |
燃料 | 酸素及び石油 |
軸馬力 | 550馬力 |
頭部炸薬量 | 1.55t |
- 回天一型は九三式魚雷を改装したものである。
- 九三式魚雷とは、旧海軍が当時の強国に先立って昭和6年に創案実用化した無気泡酸素魚雷(水中を航走する時、気泡航跡を残さない魚雷)であった。第二次世界大戦とともに実戦に用いて当時の強国を驚かせた優秀兵器だった。
- 回天一型の性能向上のため、長さ16.5m、直径1.35m、全重量18.79t、速力40ノット、軸馬力1500馬力という回天二型及び四型が試作実験されつつあったが、第一線に出撃しないまま終戦となった。