回天 第4章 戦局悪化回天誕生訓練出撃

人間魚雷回天

1931/9/18~1945/1/12

戦争への道

回天年表

 第1次世界大戦以後、急激な発展を遂げた日本は、西欧諸国に追いつけ追いこせと、市場や資源を求めて大陸進出をめざし始める。これにより日本はアメリカやイギリスなどと対立するようになり、やがて世界大戦へと発展していった。

回天年表

1931 9 18 満州事変(「九一八事変)日米関係悪化。
1932 3 1 満州国建国宣言。
1937 7 7 日中戦争(盧溝橋事件)勃発
1937 7 26 アメリカ、日米通商航海条約廃棄
1938 4 1 国家総動員法制定(同年5月5日施行)。生活必需品配給制
1940 8 8 戦艦「大和」進水
1940 9 25 日本軍が北部フランス領インドシナ進駐
1940 9 27 日独伊三国同盟調印
1941 6 22 独ソ戦争
1941 7 28 在米日本資産凍結、石油対日全面禁輸
1941 11 26 ハル・ノート
1941 12 7 戦艦「大和」徳山湾沖公試
1941 12 8 日本海軍(山本五十六)は米海軍太平洋艦隊の基地ハワイ・オアフ島真珠湾を攻撃(真珠湾攻撃)。太平洋戦争(「大東亜戦争」)
1941 12 11 独(ヒトラー)、米国に対して宣戦布告
1941 12 16 戦艦「大和」就役
1941 12 16 世界最大の戦艦「大和」就役
1942 6 7 北太平洋のミッドウエー諸島沖(ミッドウェー海戦)で米機動部隊の攻撃を受け航空母艦4隻と多数の航空機を失う大敗北を喫す。
1942 7 6 ガダルカナル島飛行場建設作業を開始
1942 8 5 ガダルカナル島滑走路の第1期工事完了
1942 8 7 ガダルカナル島、連合軍の奇襲攻撃。
1942 8 10 米軍、日本軍飛行場地区の占領。ガダルカナル島攻撃(ガダルカナル島の戦い)
1942 12 31 日本軍ガダルカナル島撤退決定
1943 10 2 学徒出陣(男子学生の兵員徴集)20歳に達した学生
1943 10 15 仁科関夫少尉、黒木博司中尉人間魚雷回天発案
1943 11 1 兵役法改正、国民兵役を45歳まで延長
1943 12 24 徴兵適齢が19歳に引き下げられ、十数万人の学生が入隊。
1944 2 17 日本軍トラック島が陥落。
1944 6 6 独軍(ヒトラー)、ノルマンディー上陸作戦により連合軍に仏ノルマンディー上陸される
1944 6 19 マリアナ沖海戦
1944 6 20 日本軍、マリアナ沖海戦大敗、撤退
1944 7 18 サイパン島玉砕
1944 8 1 「天を回らし戦局を逆転させる」「回天」、兵器として採用。
1944 9 1 山口県徳山湾大津島「回天」訓練基地開設。
1944 9 7 訓練中、黒木博司大尉[岐阜](22)殉職※回天発案・開発者
1944 9 7 訓練中、樋口孝大尉[東京](22)殉職
1944 10 13 特攻の先駆け有馬正文中将、戦死
1944 10 20 神風特別攻撃隊、初出撃
1944 10 23 マッカーサー、フィリピン、レイテ湾上陸
1944 10 24 レイテ沖海戦。神風特別攻撃隊による攻撃により連合軍大損害。
1944 11 7 特別攻撃隊の1つ大日本帝国陸軍の空対空特攻、震天制空隊「震天隊」。
1944 11 7 菊水隊員、短刀伝達式が大津島基地にて行われる。
1944 11 8 菊水隊、吉本健太郎中尉[山口](20)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1944 11 8 菊水隊、豊住和寿中尉[熊本](21)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1944 11 8 菊水隊、今西太一少尉[京都](25)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1944 11 8 菊水隊、工藤義彦少尉[大分](21)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1944 11 8 菊水隊、上別府宜絶大尉[鹿児島](23)伊号第37潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 11 8 菊水隊、村上克巴中尉[山口](20)伊号第37潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 11 8 菊水隊、宇都宮秀一少尉[石川](23)伊号第37潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 11 8 菊水隊、近藤和彦少尉[愛知](21)伊号第37潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 11 8 菊水隊、仁科関夫中尉[長野](21)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃※仁科中尉は黒木少佐の遺骨を抱いて乗艇。
1944 11 8 菊水隊、福田斉中尉[福岡](22)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1944 11 8 菊水隊、佐藤章少尉[山形](26)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1944 11 8 菊水隊、渡辺幸三少尉[東京](22)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1944 11 19 菊水隊、上別府宜絶大尉[鹿児島](23)伊号第37潜水母艦搭乗、米軍爆雷攻撃撃沈
1944 11 19 菊水隊、村上克巴中尉[山口](20)伊号第37潜水母艦搭乗、米軍爆雷攻撃撃沈
1944 11 19 菊水隊、宇都宮秀一少尉[石川](23)伊号第37潜水母艦搭乗、米軍爆雷攻撃撃沈
1944 11 19 菊水隊、近藤和彦少尉[愛知](21)伊号第37潜水母艦搭乗、米軍爆雷攻撃撃沈
1944 11 20 菊水隊、吉本健太郎中尉[山口](20)伊号第36潜水母艦搭乗、故障
1944 11 20 菊水隊、豊住和寿中尉[熊本](21)伊号第36潜水母艦搭乗、故障
1944 11 20 菊水隊、今西太一少尉[京都](25)伊号第36潜水母艦搭乗、発進
1944 11 20 菊水隊、工藤義彦少尉[大分](21)伊号第36潜水母艦搭乗、故障
1944 11 20 菊水隊、仁科関夫中尉[長野](21)伊号第47潜水母艦搭乗、発進※回天発案・開発者
1944 11 20 菊水隊、福田斉中尉[福岡](22)伊号第47潜水母艦搭乗、発進
1944 11 20 菊水隊、佐藤章少尉[山形](26)伊号第47潜水母艦搭乗、発進※回天搭乗員の募集にあたっては独身であることが原則だったが、2人いた妻帯者のうちの1人(搭乗員に採用された後、結婚)
1944 11 20 菊水隊、渡辺幸三少尉[東京](22)伊号第47潜水母艦搭乗、発進
1944 11 20 米軍の油送艦「ミシシネワ」撃沈。
1944 11 24 米軍による東京戦略爆撃による空襲
1944 11 25 山口県光回天基地設置
1944 11 30 菊水隊、吉本健太郎中尉[山口](20)伊号第36潜水母艦搭乗、故障帰還
1944 11 30 菊水隊、豊住和寿中尉[熊本](21)伊号第36潜水母艦搭乗、故障帰還
1944 11 30 菊水隊、工藤義彦少尉[大分](21)伊号第36潜水母艦搭乗、故障帰還
1944 12 21 金剛隊、柿崎実中尉[山形](22)伊号第56潜水母艦搭乗、大津島基地よりアドミラルティ諸島出撃
1944 12 21 金剛隊、前田肇中尉[福岡](21)伊号第56潜水母艦搭乗、大津島基地よりアドミラルティ諸島出撃
1944 12 21 金剛隊、古川七郎上曹[岐阜](27)伊号第56潜水母艦搭乗、大津島基地よりアドミラルティ諸島出撃
1944 12 21 金剛隊、山口重雄一曹[佐賀](23)伊号第56潜水母艦搭乗、大津島基地よりアドミラルティ諸島出撃
1944 12 25 金剛隊、川久保輝夫中尉[鹿児島](21)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりホーランディア方面出撃
1944 12 25 金剛隊、原敦郎中尉[長崎](25)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりホーランディア方面出撃
1944 12 25 金剛隊、村松実上曹[静岡](23)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりホーランディア方面出撃
1944 12 25 金剛隊、佐藤勝美一曹[福島](23)伊号第47潜水母艦搭乗、大津島基地よりホーランディア方面出撃
1944 12 30 金剛隊、加賀谷武大尉[樺太](24)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー出撃
1944 12 30 金剛隊、都所静世中尉[群馬](20)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー出撃
1944 12 30 金剛隊、本井文哉少尉[新潟](19)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー出撃
1944 12 30 金剛隊、福本百合満上曹[山口](24)伊号第36潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー出撃
1944 12 30 金剛隊、久住宏中尉[埼玉](22)伊号第53潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 12 30 金剛隊、久家稔少尉[大阪](22)伊号第53潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 12 30 金剛隊、伊東修少尉[鹿児島](20)伊号第53潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 12 30 金剛隊、有森文吉上曹[佐賀](26)伊号第53潜水母艦搭乗、大津島基地よりパラオ方面出撃
1944 12 30 金剛隊、石川誠三中尉[茨城](21)伊号第58潜水母艦搭乗、大津島基地よりグアム島出撃
1944 12 30 金剛隊、工藤義彦中尉[大分](21)伊号第58潜水母艦搭乗、大津島基地よりグアム島出撃
1944 12 30 金剛隊、森稔二飛曹[北海道](18)伊号第58潜水母艦搭乗、大津島基地よりグアム島出撃
1944 12 30 金剛隊、三枝直二飛曹[山梨](18)伊号第58潜水母艦搭乗、大津島基地よりグアム島出撃
1945 1 9 金剛隊、吉本健太郎中尉[山口](20)伊号第48潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1945 1 9 金剛隊、豊住和寿中尉[熊本](21)伊号第48潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1945 1 9 金剛隊、塚本太郎少尉[茨城](21)伊号第48潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1945 1 9 金剛隊、井芹勝見二曹[熊本](22)伊号第48潜水母艦搭乗、大津島基地よりウルシー方面出撃
1945 1 12 金剛隊、川久保輝夫中尉[鹿児島](21)伊号第47潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、原敦郎中尉[長崎](25)伊号第47潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、村松実上曹[静岡](23)伊号第47潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、佐藤勝美一曹[福島](23)伊号第47潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、加賀谷武大尉[樺太](24)伊号第36潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、都所静世中尉[群馬](20)伊号第36潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、本井文哉少尉[新潟](19)伊号第36潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、福本百合満上曹[山口](24)伊号第36潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、久住宏中尉[埼玉](22)伊号第53潜水母艦搭乗、発進事故回避自沈
1945 1 12 金剛隊、久家稔少尉[大阪](22)伊号第53潜水母艦搭乗、故障
1945 1 12 金剛隊、伊東修少尉[鹿児島](20)伊号第53潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、有森文吉上曹[佐賀](26)伊号第53潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、石川誠三中尉[茨城](21)伊号第58潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、工藤義彦中尉[大分](21)伊号第58潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、森稔二飛曹[北海道](18)伊号第58潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 金剛隊、三枝直二飛曹[山梨](18)伊号第58潜水母艦搭乗、発進
1945 1 12 伊号第58潜水艦グアム島突入

当時服装

当時服装

真珠湾攻撃

真珠湾攻撃

第8期士官講習員

第8期士官講習員

そして1942年9月、試験発射場のあったここ大津島に国天基地か開設され、全国から多くの若者たちが集まってきた。

学徒出陣

学徒出陣

回天命名

当時服装

“天を回らし、戦局を逆転させる“という意より「回天」と命名

大津島「回天」訓練基地

大津島「回天」訓練基地模型

大津島「回天」訓練基地模型

回天発案者 烈士 黒木博司大尉[岐阜](22)

烈士 黒木博司大尉[岐阜](22)

艦内で記した手帳

艦内で記した手帳

烈士 黒木博司大尉[岐阜](22)殉職 訓練事故の際、艦内で記した手帳

さらば祖国

さらば祖国

 出撃の朝。隊員たちは、多くの戦友に見送られながら桟橋へと歩いていく。隊員たちは湾内に停泊している潜水艦に乗り込んだ。「出港」の合図があがり、回天を搭載した潜水艦はわずかに白煙を残し、音もなく進んでいった。

短刀

短刀

烈士・村上克巴[山口](20)刀烈士・池淵信夫[兵庫](24)短刀

遺筆

遺筆

烈士 仁科関夫中尉[長野](21) 遺筆「櫻咲く日本に生れ男かな」

仁科関夫中尉

遺筆

烈士 仁科関夫中尉[長野](21)遺筆「君が為只一筋の誠心に当たりて砕けぬ敵やはあるべき大君の醜の御楯と出て立つに後見ん心は御代の曙」

祖国と愛する者

祖国と愛する者

祖国と愛する者を守るため、隊員たちは命をかけて出撃していった。

身体検査表(体力簿)

当時服装

烈士 仁科関夫中尉[長野](21) 海軍兵学校へ入校時から第四学年までの身体検査表

遺筆

烈士 柿崎実[山形](22)

烈士 柿崎実[山形](22) 遺筆

採用通知

採用通知

烈士 前田肇[福岡](21)採用通知、辞令 成瀬謙治[愛知](21)

遺筆

烈士 都所静世[群馬](20)

烈士 都所静世[群馬](20) 遺筆

扇子

扇子

烈士 吉本健太郎[山口](20)剣、烈士 工藤義彦[大分](21)扇子

別れ

別れ

隊員に別れを告げ桟橋へ

大津島回天基地

大津島回天基地

終戦直後の大津島回天基地