不落の名橋「錦帯橋」や岩国城等、写真や図を交えご紹介します。

吉川経家(つねいえ)弔魂碑

　天下統一を目指す織田信長は、天正八年（1580）六月・羽柴秀吉をつかわして鳥取城攻めを開始した。鳥取城主山名豊国は、城内の多数の意見を無視して秀吉に降伏し、城外に脱出した。豊国の家臣達は吉川元春に城将の派遣を要請し、元春は石見国温泉津福光城主吉川経家こ命じて城督とした。天正九年三月、経家か入城し城内を調査したところ、貯蔵された食料がわずか三カ月分位しかなく、食料の補給を図ったが、城内に撒入しようとする輸送船は、すべて秀吉軍に捕獲された。

　時日が経過するに従って餓死する者が続出し、その惨状は言葉に絶した。開城の条件として、城兵全員の救助を誓約し十月二十五日「天下を争う織田、毛利両家の二つの御弓矢の場で切腹する自分を名誉に思う」という遺書をしたため、城内広間において三十五才の命を断った。その子孫は岩国藩に仕え、藩政に貢献した。その英魂を弔うため、昭和十四年弔魂碑が建立され、礎石に鳥取城の石十二個が使用されている。なおこの場所は、江戸時代にその吉川氏の屋敷のあった所である。

吉川家系図