石材加工品の輸入は案外古く平成初期頃から行われています。平成10年頃から、日本の石材店(墓石店・仏壇店)は韓国に代わり中国からの輸入墓石が販売の中心になってきました。
しかし、多くの来店客が「中国からの輸入品は安いが粗悪品が多い」との概念を持っておられ購入を躊躇される方が大半でした。中には中国から原石を輸入し国内で加工し製品にしていると誤解されている方もおられました。
輸入の流れ
まず、輸入墓石の小売りまでの流れを説明しておきます。まず、施主さまから契約を頂いた後、加工書という墓石部材の一つ一つの加工指示書を作成します。それを中国の取引工場へ発注致します。中国工場は石種の産地が自国以外の場合(インド等)は該当する原石を中国工場に輸入します。指定石種の原石を中国工場にて弊社の加工書を忠実に加工します。この時、文字彫りもある場合は文字彫り加工も中国で行い、すべての部材を木枠梱包し日本行きのコンテナに積み、日本に到着すると弊社は門司港から運搬し検品後、施主様の墓地にて据付、完成させます。
加工技術
話は元に戻り、「中国は粗悪品が・・」は、確かに電化製品・精密機械・食品・薬品などは粗悪なものが多々ありました。石材加工も平成初期の頃は精度が悪く日本国内で補修加工する事もありました。中国加工工場も徐々に機械を導入し技術も向上し平成10年頃からは日本国内加工と遜色ない程に成長しました。
石材の石質
「では?石の質はどうなのか?」という疑問です。加工する工程は切削し研磨するだけなので質自体は粗悪になりようが無いですし、元となる原石は自然界で出来たものですから、日本でも同じ事で世界中同じです。原産が中国だから悪い質という概念は間違いで国産日本の石でも粗悪なものも多いのです。確かに日本列島は諸外国を比べ新しいとは思いますが人の寿命と石材の寿命は比較対象になりません。つまり、国産の石だから「良質」は間違い、外国産の石は「粗悪」だも間違いで地球上どこの石も良いものも悪いものもあるのです。
安い理由は人件費
では中国からの輸入墓石はなぜ?安いのか?とよく問われます。理由は日本の人件費が高いからです。奥様達が安いスーパーで買い物をされるのと全く同じ原理です。中国の原石を輸入して日本で加工すれば逆に高くなるのです。
原石を製品にするまでの価格の殆どは切削と研磨の費用です。お墓が出来るまで一番労働費を費やしている工程はこの切削と研磨です。その工程を人件費が日本より安い中国で済ませるから消費者に安く提供できるのです(これは墓石に限らず衣類なども同じですね)。
つまり、100万円で墓を建立したいならば輸入品で造った方が良質な石で建立出来る事になります。予算は設定せず国産で建立となれば輸入石で造れば100万で済むものが120~150万になったりする訳ですが、これは各石材店により諸事情があり、輸入でも国内卸業者(商社)から購入する石材店と中国等から直接、購入する石材店とでは価格設定が異なるので一概には言えないところもあるようです。
最近は国産が人気に!
ところで近年、中国の目覚ましい発展により中国国内の人件費が高騰し、墓石に於いても年々単価を上げ日本の石材と同等な質で造った場合に近づいて来ています。弊社でも平成28年より国産品(主に徳山みかげ)販売額が輸入品を上回る傾向にあります。
国産の場合は石材店により形態が異なり、自社工場生産と前述の商社仕入れと分かれ、お判りの通り自社工場生産の方がコストは安く済みますが生産頻度が低い場合は逆に高くなることもあります。例えば自社工場生産でも月に1基しか生産しない場合だと機械の維持費や消耗品交換などで赤字となり図面作成などの手間もかからない商社から購入する方がコストが抑えられる事になります。
墓石建立をお考えの方は、これからも輸入品の価格は下がることなく上がり続け、国産のものを追い抜く事も十分考えられますので今のうちに輸入品を買うのもひとつではないでしょうか。