山口県型の和墓の水鉢
お墓は日本国内であれば全部同じ形?洋型のお墓は様々な形ですが和型のお墓の形は殆ど同じです。只、部分(部材という)的には各都道府県毎に・・市町村単位でみても違う箇所が多々あります。
このうち、今回は水鉢と言われる部材についてのお話です。山口型(山口県型)の水鉢は水鉢、兼、納骨室(カロート)の納骨蓋になっていて2つの役目を行う部材です。
水鉢は漢字の通り水を入れる水受けです。側面からみると形が逆L字型になっていてお墓の台座に掛ける形で納骨室の入り口の蓋の役目を果たしています。
お隣の県「広島」では広島型といい、台座の前に水鉢を置き、広島型もまた納骨室の蓋の役目も兼務しています。
現在の水鉢は水鉢なのに水受けが無い
昔のお墓は当たり前のように水受けがある水鉢でしたが今は水受けがありません。理由は以下です。
- 理由1 お墓参りに水を必要としてない宗派が多い。
- 理由2 水受けの箇所が水垢で汚れる。
- 理由3 今のお墓は光沢仕上げで研磨してある。
理由1は宗派だけでなく同じ宗派でもお寺の御住職によっても意見は違いますが概ね水は不要のところが多いです。真言宗の場合は水は必須のようですがご住職によっては通常のお墓参りでは無くても良いとも仰るお寺様もあります。
理由2は常に水がある為、水垢が付着してきます。この水垢はとても頑固で中々落ちません。
理由3は折角、光沢仕上げが施してあるのに、そこに窪みを入れるのが勿体無いという理由です。これについては文字彫りや家紋彫りも同じでお墓に「これでもか」というほど文字や家紋を彫り込むと磨いた箇所の面積より文字等の面積が上回ってしまい、数年で汚れてしまうことになります。
「水」が必要な宗派や習わしの方には別途部材で水受けを作り、水鉢の上に供物などと一緒に祀る形が現在の形になります。
水鉢に水受けは造れない?
特に水鉢に水受けがご希望の方には施す事も可能です。お墓の建替えをご希望の方の中には以前の形と同じ形が良いと仰る方もおられます。決して出来ない訳ではありません。