納骨室(カロート)
最近の地上型納骨室(カロート)であれば蓋や扉を開くと骨壷があるのが確認できます。又、昭和建立の地下式納骨室(カロート)あっても「瓶」や「ヒューム管」等が埋めてあり、そこに骨壺が納められています。
しかし、どう見ても出し入れする箇所が無いお墓もあります。そういうお墓には2種類あって個人墓(一人のお墓)又は夫婦墓になります。
上の図は赤の箇所が納骨蓋(水鉢)でここから納骨します。しかし、右横の二つのお墓にはそれらしき蓋は見当たりません。希少ではありますが、お墓の後部の一番下の石に細工があり蓋の役目をするものもあります。このようなお墓は個人墓又は夫婦墓で建立後に再び納骨する必要が無いか少ないので、態々蓋をつける必要がありません。夫婦墓の場合も建立後は一人(1柱)だけとなりますから、一番上の石と二番目の石を一度解体すればよいだけになります。
お骨上げ
では、本題のお骨があるか?無いか?です。亡くなられた方が全て同じ境遇で亡くなったとは限りません。或いは没後、遺族間でのトラブルも考えられますので必ずそこに埋葬されたかどうかは、やはり実際に解体し掘削を行う必要があります。
軍人墓であれば、戦地で亡くなられておられますので、その殆どがお骨がなく戦死地で採取されたとされる「砂」や「海水」又は遺品などが埋葬されていますので、らしきものも採掘される事は稀です。
例え、掘削を行っても「土に還り」形が確認出来ない場合もありますし、いくら古いお墓であっても、埋葬された土などの質の関係で綺麗に残っているものもあります。
このように試し掘ってみる「試し堀」も含め、火葬場でお骨を拾う行為と同じ呼称でお骨上げと呼びます。
土葬か火葬か
比較的、田舎であれば昭和30年代でも土葬を行った地域もあります。それから現在は原則火葬ですが、宗教的な文化があり火葬を行わないという地域も話に聞きます。
納骨蓋の無いお墓は次のような形態に分別できます。
- 1.完全土葬
- 土葬したまま、上に墓碑を据えたもの。
- 2.再土葬
- 別の場所で土葬され一定年数放置し採掘後、再埋葬し上に墓碑を据えたもの。
- 3.土葬再火葬
- 別の場所で土葬され一定年数放置し採掘後、火葬し上に墓碑を据えたもの。
- 4.土葬再火葬+骨壷
- 別の場所で土葬され一定年数放置し採掘後、火葬した後、骨壺に納め埋葬し墓碑を据えたもの。※この場合、人一体分が収められる骨壷は無い為、一部と思われる。古いものは火消し壺を骨壷の代替えに。
- 5.薪火葬
- 多くの場合、お墓の建立されている墓地の傍らに簡易的な火葬場があり薪を集め火力とし火葬して埋葬後、墓碑を据えたもの。
- 6.薪火葬+骨壷
- 薪火葬後、骨壺に納め埋葬後、墓碑を据えたもの。※この場合、人一体分が収められる骨壷は無い為、一部と思われる。古いものは火消し壺を骨壷の代替えに。
- 7.火葬炉+骨壷
- 現在行われている火葬で一部を骨上げし骨壷に納め、大部分は廃棄される。
- 8.土葬骨上げ+新墓碑
- 代々のお骨をお骨上げし、大きな瓶を備えた墓碑を造り全てを納める。
※火消し壺とは、昔電気の無い時代、それぞれの家庭には炭を使ってましたが貴重なため壺に入れて火を消し再利用していました。下記写真赤矢印
確率
弊社でのお骨上げが出来た確率は2割程度で、らしきものを含めるても3割程度です。しかしこれは骨壷に納めない土葬の場合です。土葬でも骨壷に納めて埋葬したものは粗100%お骨上げ出来ます。下の写真は丁寧に掘削していき出てきた骨壷で残念ながら破損していたものの中のお骨は無事でした。
土葬の場合で試し堀をした際、あるか無いかの目安の一つが「空洞」です。単一又は複数のモグラの穴のような空洞が見られれば、土に還って無い限りお骨上げが可能です(下写真)。しかし、一番の情報は身内の古老から頂く事です。それから薪火葬であっても焼骨したものは土に還り易いようです。又、大きく傾いたお墓もお骨の劣化による空洞化による陥没で土葬とも考えられます。
施工費用
お骨上げで試し堀を行い、ありそうであれば本格的に掘り起こし、無さそうであれば埋め戻しを行い終了しますが、試しの場合と本格の場合とでは料金が違います。勿論、上にあるお墓の大きさや立地条件により職人の働く時間がどのくらい必要かにより施工料金は違います。
比較的、小さいお墓であれば、ご自分で行う事も可能ですが「お骨上げ」を行うには、それなりに理由がおありでしょうから、事後の施工が必要であれば業者に任せた方が良いと思われます。
再土葬
新規にお墓を建立され代々のお骨を納める場合は骨壷は廃棄しお骨だけを基礎工事前後に予め土葬する事をお薦め致します。
多くの仏教宗派の僧侶は「お骨は土に還るもの」と仰っておられます。古いお墓や墓地から掘り起こす必要は無いとも仰る僧侶もおられますが、代々のご先祖を置き去りにするのは忍びないと考えられる施主様が多いですね。