祟り?お墓が勝手に動いた!

水は9%も膨張する

 お墓は重い石の積み木です。大昔のお墓は積み上げた石と石の間に何も施さず石の重量だけで安定させていました。昭和になると石と石の間にノロと呼ばれるセメントを詰めて接着していました。セメントの接着力は意外と弱く、重量のある石に振動が伝わると簡単に割れてしまいます。

 寒い冬、雪解け水や雨水が石と石の間に染み込み気温が下がる夜間から明方に凍ると膨張した力で重い石を持ち上げます。日中、気温が上がるとそれが融けだし元々の位置と少しズレてしまいます。この時のズレ具合はお墓の傾きに比例し傾き度が高い程ズレは大きくなります。

祟り?お墓が勝手に動いた!

 一番良く動くのが一番上にある竿石(仏石)です。仏石の上には何も重力は無く開放状態です。水は拘束が無い状態だと9%も膨張する為、仏石の自らの重みがあっても若干動いてしまいます。

 平成になると石と石との間には耐震ボンドを詰めます。耐震ボンドは非常に強い接着力で硬いゴム状になる為、例え隙間があって水が浸入しても元の位置に戻りますし目地コーキングを施しますので水の侵入も防ぎます。

 竿石を始め動いた石材部材を補正する際は耐震ボンドを使用しますので以後は勝手に動く事はなくなります。

祟り?お墓が勝手に動いた!

開き・傾き

 この他、その他の部材も動く事があります。現在の工法では考え難いのですが昭和以前の建立技術では中々防ぐ事が困難な事が発生します。

 その現象のひとつに「開き」があります。「開き」は部材と部材が離れてしまう事で横に並べた部材で多く発生します。原因としては軟弱地盤とベタ基礎を施さなかった事が考えられますが前述のように雨水の凍結によるものもあります。建立当時に石材用ボンドが無かった為、当時の職人さんは色々な工夫を施してますが数十年の間の地盤変化等でやむを得ず動いてしまった事が考えられます。

 この他、「傾き」という現象があり、やはりこれも地盤変化によるものです。当時に石材用ボンドがあれば幾分傾きがあってもボンドの張力で耐えますが、一旦傾き始めると年々傾きの度合いの速度が増しやがて倒壊する可能性もあります。

 ベタ基礎を施していても地盤が悪い場合は基礎毎、傾いてしまう事もありますので建立の際には周辺のお墓が傾いていないか?注視する必要があります。

 「開き」補正は割合、安価で修復可能ですが、「傾き」補正の場合、その殆どが一旦全ての部材を解体し、ベタ基礎を施して再度建立する方法しかありませんので補正費用が高くなることも考えられますが、比較的、小さなお墓ですと解体をせず全体を浮かして簡易基礎を打設し安価で済ませる方法もありますので一度スタッフに尋ねる事をお薦め致します。

祟り?お墓が勝手に動いた!

開き防止措置方法

 お墓は4つの石の組み合わせ(四ツ石)や場合によっては2つの石の組み合わせで建立します。それぞれの接点を合端と呼びますが、永年の経年により、稀にこの合端が開くことがありますので防止対策を施します。お墓により対策方法は異なりますが主なものが下の写真になります。

 建立後、見えない箇所は十字に石に切れ込みを入れステンレスの板を嵌め込みます。切れ込みが施せない箇所にはステンレスL字金具を取り付けます。

祟り?お墓が勝手に動いた!

耐震ボンド ストーンコーク

 弊社の使用している石材ボンドです。硬貨すると弾力性のある硬いゴム状になります。ホームセンターなどの一般のお店では販売していません。多色ありますが一般の石材ではグレーを使用します。

祟り?お墓が勝手に動いた!

関連キーワード

2016年10月02日|サポート情報:リフォーム, 修復・補正, 豆知識