墓地の採寸(さいすん)
衣服等の寸法を測る時も採寸と呼びますが墓地の寸法を測る時も採寸と呼びます。ある施主様がご自分で測られ「横〇〇cmx縦〇〇cmだから!」と言われ「市営墓地だから間違いない!」とも言われます。「態々ありがとうございました。」とお礼を言わせて頂きますが、確かに市営墓地は区画整理がしてある所が多く墓地使用許可証(永代使用権)にも寸法又は面積が記されてます。
「横?」「縦?」と言われても「どこから見てかな?」となります。実際は施主様から言われても墓地に出向き採寸を行います。これは見積の場合でも同じです。
建立予定のお墓の正面から見て手前(横寸法)を間口と呼び、同じく縦寸法は奥行と呼びます。それらを測った後、矩(※かね)を見る為に対角を測ります。間口の前後、奥行の左右、対角が全て揃って正四角形となります。いくら区画整理が行われ個々に枠が設けられていても正四角形の墓地は皆無で、その殆どが台形又は菱形になってます。
墓地の周りに巻く石を外柵(巻石・長石・結界石などとも)と言いますが正四角形で無い墓地に合わせて歪んだ外柵は造れません。よって実際の墓地寸法より少し小さく外柵を設けます。この遊びを散り(ちり)と言います。この場合の散りは1辺が15mm~30mm取りますから四方30mm~60mm程狭くなります。
今度はGL(グランドレベル・地表)のレベル(傾斜)をレベラーで測ります。墓地は水平とは限りません。見た目は水平に見えても実際に計測すると高低差(勾配)が60mmもある事も多いです。
最近の外柵は水捌けさえ良ければ意味なく高くせずに、お年寄りでもつまずかないように低くします(階段を付けないで良いように)。仮に奥行2000mmの墓地で60mmの高さの外柵を設けると仮定して勾配差が三分あるとすると60mmの高低差になります。一般に基礎コンクリートは見えないように墓碑は設置しますから地面の高い箇所は外柵石は隠れてしまいます。
この場合の回避策は1.外柵の高さを高くする。2.基礎コンクリートを上げる。の何れかを選択することになります。代金面からいうと1の方が高額になりますが見栄えからいうと1の方が良い事になります。又、露出したコンクリートは経年すると次第に黒く変色します。
※矩(かね)
曲(かね)とも呼びます。大工さんが使う差金(さしがね)は指矩(さしがね)とも言われます。指矩は直角を取りたい場合に使用し矩は直角の事を言います。同じく垂直の事を「たてり」と言い重い石を下から積み上げる墓碑建立では「水平」「矩」「たてり」が重要となります。