建之(けんのう)之を建つ(これをたつ)
殆どのお墓には「いつ」「誰が」「建てた」が刻まれています。今でも建立年月と建立者は刻みます。その書式は「〇〇〇年〇月 〇〇〇〇建之」で書体は行書ですが、最後の文字「之」は行書で書くと「立」と酷似していますから建立と間違える方が多いようです。
建之と建立は意味は同じですから、建立でも良いのでしょうが、和型のお墓では必ず「建之」と刻みます。建之は「けんのう」とも「これを建つ」とも読みます。
必ず必要か?
施主さまには様々な事情をお持ちの方もおられます。建立年月や建立者は必ず必要な訳ではありません。弊社での過去の例でも正面文字以外は何も刻まれない方もおられます。
逆に何名でも良いのかと尋ねられますが、縦書き・横書きをして石彫出来れば何名でも刻めますし数のルールや決まりはありません。しかし、刻んだ箇所は磨けないので汚れは付き易くなる他、美観を損ない掃除もし難くなりますので必要最小限度に留めたほうが良いです。
一般では複数者建立の場合で姓が同じ場合は文字数をなるべく少なくするため同じ姓は繰り返しません。同じく建之も繰り返しません。ご兄弟で建立される場合、姓が違う場合はそれぞれの姓を含めた氏名を刻みます。
意外と多いのが「亡くなった方の名前を刻みたい」というご要望です。本来は遺族の方を刻みますが遺言や忖度もあるでしょうから刻まれても差し支ありません。
刻む面
仏教上では右面(正面から見た)は上座になりますので右面は避けたいものですが、現在の仏石(一番上の石)には戒名等は彫らないので正面以外のどの面に彫っても差し支えないでしょう。万一、正面以外に戒名を含む宗教的・仏教的文字を彫られるのであれば、それらの文字は右面→背面の順に刻み残った面に建立者名を刻んで下さい。
正面以外に宗教的文字を彫らない場合は墓地の入り口からお墓に参る際に見える面に建立者名を刻んでおくと親族などが見つけ易い利点もあります。